平日昼間が無職にもたらす精神影響についての考察
月曜日の昼間の住宅街は、静かすぎる。
散歩なんかしてみると、本当に驚く。
僕の近所は、じいさんばあさんしかいないのだ。
近くの理容室なんかを通ると、
おじいさんの横には理容室に必ずある、あの、
そう、ルーマニアである。
ルーマニアの機械のイカレ気味のモーターの音と、
僕は考える。きっとおじいさんは、
じゃないともうあれが何なのかわけがわからないのだ。
死ぬまであれをやるのだとしたら、そんなの拷問じゃないか。
それから道路を少し歩くとドラッグストアが見えてくる。
デェム!
ドラッグストアで僕はダンボールをもらう予定だった。
だけど、
母親は遠くを走り回る自分の子をいきなり自らの足元に呼び、
僕は少し早歩きをする。
もし、国民に今の気持ちを表すプラカードが用意されているとしたら、
現実ではそんなものはあるはずもないんすけども。
通り過ぎるや否やのタイミングで、
そりゃあ確かに、そうなるよな。
ドラッグストアは入れなくてダメだったので、坂の下にある、
途中、道端に、たくさんの材木を積んだトラックが止まっていた。
僕がその横を通り過ぎると、
随分と早歩きだなと思っていると、
「あなた、運転手ですよね?」
いや、ちげーよ!!!
パーカーにコーチジャケットを着て、スウェットパンツを履き、
僕は作業員だと間違えられたようだ。
「いいえ、違います。僕はダンボールを探しているんです。」
この回答もこの回答で、なんかかなり会話噛み合ってなくないか、
おじさんは笑いながら「ゴメンナサイ」と言って去っていった。
それから僕は、よくやりがちな、
坂道を下る間、必死に全てを反省していた。
あの場合、いいえ、違います。だけでよかったんすよ。要は。余計なこと言わんでよかった。
僕は本当に言いたいことも言えないポイズン野郎で、
中学生の頃、社会科の時間に先生に、
「小林よ、日本は資本主義か?」
と、聞かれたことがあった。僕は、
「いいえ、日本は社会主義です。」
と生真面目に答えたことがあり、先生にバカにされて恥ずかしくなって、
「でも!僕の家は!僕の家は社会主義なんです!!!」
とわけのわからない言い訳をしたことがあった。
クラスの好きな女の子がクスリと笑ってくれたから、
なんて思っていると、近くの道から子供達の叫び声。おお、
実のところ、僕は、子供が好きだ。大学生の頃、
子供はすごい。彼らには生きることに対する恐れがない。
保育園の前を、後にする。
園児たちはギャーギャー叫んでいた。混じりたいけど、混じったら、事件に発展するので、見過ごした。
そんなこんなで住宅街を抜けますと、老人に混じって、
うーん、安物の香水の匂い、悪くないねぇ……。
ただ、一つ気になるのは、道を行き交う女の子の大体は、なぜか、
あら、あの子、カバンからガラケーを取り出したわよ。
どこに電話をかけるのだろうか。
僕は、しばし考えた。
彼女たちの共通点として、皆、どこかのアパートの前に着くと、
大体が、なぜかガラケー。
イマドキの女の子とガラパコスな携帯。
つまり、まぁ、おそらくは、ああ、なるほど、
勘のいい男性諸君なら分かるだろう。
多分、そういうこと。
出会って4秒で……。
昼間っからこの街は………。
こんの街は……
もう!!!こんの街はぁあああ!!!うわー!!!
それで、僕は近くの店々でダンボールを頂き、
必死にダンボールを抱えて、坂道を登る。
坂を登り終えて、達成感に浸り、
どこに行くのかなと思い見ておりますと、
あれ、あの女の子の手元には……
カバンが2個!!!
そして!!ああ!!カバンから取り出したのは………
ガラケー!!
携帯も2個!!!
それを見ている僕もニコニコ!!!
そ、それに!!女の子が向かっている方角は…!!!
理容室の方面ッッッ………!!
も、もしや!??
理容室のジジイ………??
理容室のジジイ、もしかして、デリヘルを呼んでみるけど、
それで、どんな嬢が来るのか待ちきれず外で待機してるタイプ?!
外で待機してるけど、その待ち時間が既に緊張するから、
そういうことだったのか!!!
ということは、ジジイはいつも店の前に立っているわけではなくて、
だから、
ジジイー!!!お前なにやっとんねん!!!ジジイ!!!
と、いうことは、あのジジイが呼んでる女の子って………
ルーマニア専門ヘルス……!!!!
ああっ!!
あのクルクルは!!
あのクルクルは!!
あれは、ただ、ジジイが性癖を発信してるだけだったのか!!
ジジイ!!!ジジイー!!!
こうぜんわいせつ~!!!
こうして、僕は、また一つ、
平日昼間が無職にもたらす精神影響について、
まずは寝起きにたらふく吸い込み、そして限られた自由を感じて、
でも、最後にはポジティブが勝つ。
とかく、今のところは、